Baba O'Rileyが終わったら、Peteが言った。
「13ヶ月に渡ってツアーを続けてきたが、
最後の4つのスカンジナビアでのギグは、本当に素晴らしい出来だ。」
やったぁ!
続いてメンバー紹介
2000年にジョン・エントウィッスルが死んでから
ずっと一緒にやっているピノ・パラディーノ!
「今日が終わったら、来月はやっと家に帰って寛げる。
本当にこのツアーに来てくれてありがとう!」
そりゃそうだって!
あんたら常軌を逸してるよ!
10代の新人バンドよりキツいスケジュールだよ!
「ジョン・エントウィッスルはディープヴォイスだったが、
(Pete、Johnのボリス声の真似をする)
どうだいおんなじだろ?」
会場から失笑が沸いた。
全然、似てません!
はっきり言って、Peteに物真似の才能ありません!
こいつは、Johnとは逆に、
高くてきれいな高い声が出る。
俺の弟、サイモン・タウンゼント!
The Whoのドラマーと言えばキースムーン。
伝説的だった。
さて、今はライブだ!
Incredible!ザック・スターキー!
Peteはザックを紹介する時に、必ず「Incredible」をつける。
横浜や大阪でもそうだったね。
キース的な掛け合いをドラムとできるのが、
よほど嬉しいのだろうなぁ。
でも、褒めすぎじゃん?
ザックは、キースが着てたみたいなモッズ的Tシャツだったが、
かなりおっさん顔になったザックには、相当無理がある感じ。
続いて、1976年にスモールフェイセスのロニー・レインと一緒に、
スタジオセッションをやって以来の仲だ。
フロムテキサス!ジョン・ラビット・バンデリック!
彼は最近、Fuckin'g Big Troubleがあったんだ。
ラビット大丈夫か?激痩せ!
確か、奥さんが亡くなられたとか?‥
さて次の曲だが、1971年からだ。
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9. The Relay
この曲大好き!
少し休んだので、Rogerの声は完全復活!
やはり、この曲のようなシャウトの方が、よく声が出るぜ。
Peteのギターソロが素晴らしい。
フリージャズのような、何とも不思議な音づかいのソロだ。
このPeteのギターソロの音づかいの魅力は、
コピーしてみないとわからないんだ!
過小評価されすぎだ!
個人的には、Love Ain't For Keepingのセッションにおける
レスリー・ウエストのギターソロに、大きな影響を受けた音づかいだと感じる。
メジャー、マイナー関係ない「自由な音」なのだ!
うなりを上げて軋むPeteのストラトキャスター!
10. Drowned
Peteがギブソンのアコースティックギターに持ち替えた!
Rogerはメンバーと共にひっこんだ。
待ってました!
Peteのアコースティックギター!
至近距離で聴くPeteのアコースティックギターの弾き語り。
Let me flow into the ocean
Let me get back to the sea
Let me be stormy and let me ba calm
Let the tide in
I wanna drowned
I wanna drowned in sweet sweet love‥
大海原に漂いたい
俺を海に戻してくれ
嵐でも静寂でもどっちでもいい
渦潮の中で、俺は溺れていたいんだ‥
目が澄んでるんだよ、Peteは。
そして10代の男の子みたいに、素直に、かつ、
怒りを込めてギターをかき鳴らしながら歌う。
5~6m前でやられてみ。
涙止まんなくなっちまったよ。
本当に不思議だ。淡々と、ひたすら音楽に没頭して、
目の前の客だけを見て、自分の感情を
音楽にぶつけるだけのPete。
この曲も入っているアルバム「Quadrophenia」
についてPeteは、
「俺のソロアルバムで出した方がよかった。」
と言ってたことがあったが、俺もそう思うな。
Peteの繊細さ、イケてなさ、モヤモヤ感。
これを、白か黒かのモテモテ喧嘩番長Rogerが歌ったら、
別のものになってしまうのは当然だからな(笑)
「Quadrophenia」に関しては、
ブート盤の、Pete一人でメンバー用に作成したデモ音源
ばかり聴いている私です。
このライブでの「Drowned」は素晴らしかった!
心に染み入りました。
11. A Man In A Purple Dress
続けて、Peteのアコースティックギター1本で、
Rogerが歌う。
ホントにいい声だ。深く、優しい声‥
プロジェクターに、古今東西の聖職者たちの写真が出る。
そう、紫の法衣を着たような聖職者を、
とことんおちょくってバカにする歌だからな。
キリスト教の司祭、イスラム、ユダヤの聖職者たち‥
静かな曲だが、内容は超キツい。
ロックンローラーは、こうじゃなくちゃね。
You are all the same‥
おっと、3番でRogerの声がヤバくなってきた!
前半でもやってた、
「気道を指で押して無理やり喉を開く動き」
が頻繁になってきた。だいじょぶかRoger?
なかなか次のフレーズを歌い出さないRoger。
Peteが寄ってきて、
「おい、お前だいじょぶかい?」
ってな感じで微笑みかけている。
最後のパートの歌いだし、
I lovingly mock you noble lords
の「I」が出て来なかったRoger!
「Sorry」
「It's OK」
パリからRogerを追っかけて来ていた
50がらみの女性が叫ぶ。
俺も、でかい声で、
「No Problem!」と叫んだ。
すかさず、何事も無かったように、普通に歌いだすRoger.
超人だよ、この人は。
だって、普通に声出るようになってるよ。
喉を開こうとして押す二の腕には、
力こぶが出来てる。
喧嘩番長は、声が出なければ、
無理やり力で喉を開いて出せば、出るんだよ!
曲は終わった‥The Song Is Over.
Rogerが静かに言った。
「Too much singing」
当たり前だって!
何か、生き急いでるような感じがして心配だ。
それぐらい、鬼気迫るRogerの歌だった。
パリからの追っかけ女性が、三列目から
「Come back to Paris!」
とRogerに叫んだが、
耳の悪いRogerは、
「What?」と言っただけだった。
12. You Better You Bet
普通にライブは続く。
Rogerも普通に歌う。
これが、40年以上もライブを続けている
60過ぎた真摯な現役ロックンローラーの凄みだ!
Peteは、最近得意にしている
「ピロロピロロ」
と、プリングオフを多用するフレーズでギターソロ。
でも、使う音が素晴らしい。
自由なフレーズが縦横無尽だ。
かなりノッてきているのがよくわかる。
ホントに嬉しいなぁ。
大枚はたいて観にきてよかった。
とっても幸せな気持ちで、
「You bet you bet you bet!」
と一緒に歌う。
Peteも、Keithが死んでケニーを入れて、
やる気を失いつつ離婚でモメてる時に、
よくもまぁこんなシンプルかつキャッチーで
突き抜けた明るさのあるThe Whoらしい曲をつくったもんだ。
天才とはそういうものなのだろう。
天職なんだよ、Rockが。
天が、俺たちイケてない野郎どものために、
Peteを配したのだ!
サムライサムは、転職だけどなwww
13. My Generation
続けてMy Generation!
ザックを入れてから、よくプレイしてるね。
この曲こそ、The Who本人がプレイしないと全く意味が無い。
The Whoをスターにした名伯楽ランバート伯爵の美学。
それがMods野郎どもに熱烈に支持された。
この曲は歴史だ。曲自体は音楽的にはつまらないからね。
でも、ライブの4列目で観ると、メチャ興奮するんだ、これが!
狂喜乱舞して一緒に歌っちゃったよ!
しっかしピノさんよ!
フレットレスベースでピロピロと
いかにもスタジオの人みたいなベースソロ弾かないでよ。
Johnに失礼だろがっ!
おぉ、俺の好きなLive At Leedsと同じ長いコーダ
つきの演奏だ!
Peteのギターソロが素晴らしい!
Peteが、
「Hope I die before get old」
をリフレインし、聴衆に歌わせる。
そして、
「Hope I die before get old like you」と歌いながら、
イングランドからの追っかけヒッピーおやじ共を指差して笑う。
更に悪ノリして、
「Like you! Like you!」
と一人ずつ指差しながら、
「お前みたいにはなりたくないもんだ。」と笑う。
毒と稚気のあるやっちゃな、いくつになっても。
とっても逆説的でカッコいいぜ!
若いうちに死にたいと言ってた奴が、生き残って、
バリバリ現役ロックンローラーを続けながら、
「Hope I die before get old」
って歌うんだぜ。
14. Won't Get Fooled Again
そう、My Generationと続けてWon't Getをやるのが
ロックオペラなんだよ!
死んだJohnは言ってた。
「Peteはこの曲で、少し年老いた俺たちの
My generationの感覚を歌ってるんだ。」
ってね。
ブチ切れ腕回し連続!
63歳だっけ?
俺にできるかな、この年で?
メチャクチャ痛いよ、マジで。
さぁ、アンコールタイムだ。
横浜、大阪と(ほぼ)同じだったが、全然違っていた。
15. The Kids Are Alright
みんな一緒に歌う。
Peteが言ってたなぁ。
この曲を歌うと、
バカで不良ばっか周りにいた若い頃を思い出すと‥
Rogerの乾いた情感が素晴らしい!
ホントに、誰でも10代の頃を思い出すよ、この歌を聴けば。
もう何度も泣いてしまってるが、
またもグッときてしまったぜ。
乾いた情感で淡々と歌うRoger!
何の飾りもなく澄んだ歌が、心を直撃する。
16. Pinball Wizard
前から4列目で聴くこの曲のギターカッティングは凄まじい!
想像以上に、物凄く強く弾いてるんだ!
この野郎!俺に触るな!たたき殺すぞっ!
ってな感じだ。
17. Amazing Journey
ラストに向けて、Rogerがブチ切れはじめた。
ガッツンガッツンマイク回す!
18. Sparks
Amazing Journey後のギターソロだ!
Peteがここで、
「Captain Walker!」
を歌うのもいい感じだ!
「Don't expect see him again!」
とシャウトしたPeteは、
ブチ切れたギターソロを弾きまくる!
後で聴いても、本人は二度と弾けない類の、力任せのソロだ!
ロックが最高なのは、こんな瞬間なんだ!
計算や練習や腕を超えた、気迫と力任せ!
Peteは「無」の境地で、全ての力をギターに叩き込む!
続いてSparksだ。
昨今プレイされる、この静かなSparksも好きだなぁ。
より深くTommyの世界に誘ってくれる。
19. See Me Feel Me
もう何も言うことはない。
ひたすら、The Whoが好きでよかったと思うのみだ。
PeteもRogerも、最後の力を振り絞り、
全力をぶつけてくる‥
Rockが、気持ちの音楽だとしたら、
Rockとは、The Whoのことなんじゃないか?
もしかしたら、The Whoだけが次元が違うんじゃないか?
たまたま次元の違う4人が集まった奇跡が、The Who‥
その誰でもないThe Whoは、二人になっても変わらないんだ‥
もしかしたら、60歳を過ぎたPeteとRogerは、
幻のロック神である「The Who」に突き動かされて、
ここまで来ているのかも知れない‥
あるいは、死んだKeithとJohnの分まで、
二人で「The Who」をやらなきゃ!
と思っているのかも知れない。
だって、金も名誉も充分だろ?
何でこんな過酷なツアーを回るんだい?
大拍手と指笛の絶賛の中、二人のThe Whoだけがステージに残った。
20. Tea & Theatre
新作Endless Wire」の最後を飾るこの曲がエンディング曲だ。
Peteのアコースティックギター1本をバックに、
ティーカップを片手にしたRogerが歌う。
We did it all - didn't we ?
現役引退を感じさせる感傷的な歌詞と曲調に、
嫌な予感を感じた俺は、このアルバムが発売されてから
一回しかこの曲を聴いていない。
「Mirror Door」までしか聴かなかった。
でも、ライブで聴くこの曲はいいもんだ。
ステージには二人だけ、そしてそれを見守る沢山の聴衆の目。
そうか!新アルバム「Endless Wire」は、
聴衆も一緒に参加することで、初めて意味を持つ、
インタラクティブなロックオペラだったのかも知れないな。
様々な聴衆のThe Whoへの思いを
「Snowflakes Falling」と歌う「Fragments」から始まり、
架空の主人公たちの姿を借りながら、
聴衆と一体になってつくり上げてきたThe Whoについて、
「Before we walk from the stage Two of us」
「At the theatre with me」
と歌って終わる。
「Two of us」とは、PeteとRogerのことのような、
The Whoと聴衆のことのような‥
でも、ステージは二人の世界だ。
静かにリラックスしながら、激しいステージを終えたPeteとRoger‥
誰も入り込めない。
歴戦を共に戦った者同志にしかわからない空気が、醸し出されていた。
歌は終わった‥
PeteとRogerはとても満足げで、
かつ、未だかつてないような
とても寂しそうな顔をして去っていった‥
去り際にPeteが、
「we'll be back !」
と言った。
客席は大拍手!Peteは更に、
「ただし、40年後にな!」
と、照れ隠し的に言って消えた。
Rogerは、パリからのおっかけおばちゃんから、
トナカイのぬいぐるみと花束を貰って、照れていた。
最後に観えたのは、
RogerのLovely Smileだった‥
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