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2000年11月16日。





 21世紀になってからThe Whoが来日したり新譜を出したりするなんて思いもしなかった、2000年11月16日、20世紀末のロンドンです。
 
 アメリカ資本にいいようにやられている街並みに、つまんねえ東京と変わんねえじゃん。と思ったらいえいえそんなことはございませんでした。バスに乗っていたら、乗り遅れた兄ちゃんが、発車間際にいきなり外から窓ガラスを叩き割りました。乗客は流血です。さーすがBriton。そんなBriton君たちが、2000年11月15,16日、ウェンブリー・アリーナに集結したのでございます。

 ほとんどの方が30代以上に見受けられましたが、中には細い身体にモッズパーカーを纏ったイカしたティーンエイジャーの姿も。オープニング・アクトに続いて午後8時過ぎ、「うおー!! TheWhoだー!うわーっ!!!」←これは私の反応ではなく、会場全体の雰囲気。なにせ私の席からステージはやや遠く、前方では背の高い客がブロックを作っており、最初は「え?何?何?出てきたの?」という感じでございました。
 
 しかしさすが番長連合。パフォーマンスが始まってしまえば、もう全て関係ねえ!TheWhoのサウンドと自分しか存在しない時空へ一直線。特にRoger様は、思わず「様」を付けてしまうくらい凄かったです。睨みつけるような眼差しを、会場の左から右までゆっくりと走らせる姿がスクリーンに大写しにされたときなんざ、ひとり丸腰で敵陣に乗り込んでいった安藤の兄貴もかくや、といった迫力でございました。背筋がぞっとしつつも、魅力的なのです。

 そこにPeteがギターで切り込み、サウンドで叩きのめす。うわー凄え!と思っていると、すかさずJohnがとどめを刺しにくる。やば過ぎです。

 何が一体、彼らをそこまでやらせるのでしょう?お金を稼ぎたいから?名声が欲しいから?ねーちゃんにもてたい?そんな理由であそこまでやるか?−そうじゃない。

怒り。
彼らはファッキンな世の中に対して怒っているんだ。
そのすさまじい怒りのパワーを叩きつけてるんだ。

これは戦争だ。
歴史上で唯一、本当の敵に対して戦っているんだ、
この人たちは。

言葉や駆け引きじゃなく、もしかしたら音楽ですらなく、
荒ぶる魂そのもので勝負している。

今、この瞬間、私の目の前で。

そう思うと、つい涙腺も緩むというものです。
今までロックだと思っていたものは何だったんだ〜!!


 午後11過ぎまでパフォーマンスは続いたのですが、3時間近くずっと喧嘩売りっぱなし。殺るか殺られるかの緊張感。こんなものがこの世に存在しているとは露とも思いませんでした。この時代に生まれて、かろうじて間に合ってよかった、と強く思ったのでございました。


 どの曲やったかは、全然覚えていません。



オープニング・アクトはクラッシュのJoe Strummer
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